■製図-基本

1 製図の基本概念

1-1 製図の目的

図面を作成する目的は、図面作成者の意図を、図面使用者に確実かつ容易に伝達することにある。

1-2 図面の基本要件

図面は、「製図の目的」を達成するために、次の要件を満たしていなければならない。

2 製図の基本原則

製図の基本原則は、「JIS Z 8310 製図総則」及び「JIS B 0001 機械製図」の最新規定に基づき製図することである。

JIS規格の改正又は制定された規定は、それ以降の製図で反映させる。

改正前の図面は、編集しないものとする。

2-1 図面の用紙

図面の大きさ及び様式は、「JIS Z 8311 製図−製図用紙のサイズ及び図面の様式」の規定による。

図面の大きさは、対象物の大きさ、図形の複雑さ等を考慮し、図の明瞭さを保つことが出来る範囲で、最小のものを選ぶものとする。

図面の様式は、「製図-用紙」規定に準ずる。

2-2 図面に用いる線

図面に用いる線は、「JIS Z 8312 製図-表示の一般原則-線の基本原則」及び「JIS Z 8321 製図―表示の一般原則―CADに用いる線」の規定による。

但し、他の規格に別に規定しているものについては、その用法に従った線を用いる。

2-3 図面に用いる文字

寸法数字、文字記号、注記など、図面に用いる文字は、「JIS Z 8313 製図-文字」及び「JIS B 3402 CAD機械製図」の規定による。

2-4 図面に用いる記号

2-5 図形の表し方

図形の表し方は、「JISZ8316製図-図形の表し方」の規定による。

2-5-1 投影法

投影法は、「JISZ8315製図-投影法」の規定による。

投影法は、「第三角正投影法」を原則とする。

2-5-2 尺度

尺度は、「JISZ8314製図-尺度」の規定による。

尺度は、「ISO推奨尺度」とし、中間尺度は禁ずる。

尺度は、対象物の大きさ、図形の複雑さ等を考慮の上、図の明瞭さを保つ様に選定する。

 

ISO推奨尺度

倍尺 2:1 5:1 10:1 20:1 50:1
現尺

1:1

縮尺 1:2 1:5 1:10 1:20 1:50

但し、下記の部品のみ「固定図法」を採用するため適用外とする。

2-5-3 図形寸法の入力基準

データ入力値は、「現寸」を原則とする。

但し、下記の場合は適用外とする。

  1. 寸法差が「小数点以下第2位」以下の寸法基準値「設計基準値」とする。
  2. 寸法差が「小数点以下第1位」以上の寸法基準値「寸法差0基準の値」とする。
  1. おねじの谷径
  2. めねじの山径
  3. 極小の面取り

立体図法の部品図に限り「中間尺度による比例寸可」とする。

但し、「擬寸」は形状を著しく変える恐れがあるため不可とする。

その他の事項

図形の大きさと対象物の大きさとの間には、正しい比例関係を保つ様に描く。

但し、固定図法が許される部品図は除く。

2-6 製図における寸法記入方法

図面に描いた図形に、対象物の大きさ、位置、姿勢を定量的に示すために寸法を記入する方法は、 「JISZ8317製図-寸法記入方法-一般原則、定義、記入方法及び特殊な指示方法」の規定による。

図面に記入する寸法には、互換性を含め機能上必要な場合、「JIS Z 8318製図−長さ寸法及び角度寸法の許容限界記入方法」規定に準じて、寸法の許容限界を指示する。

製作する対象物の寸法には“ばらつき”があるため、「許容差-一般公差」規定に準じて、「普通公差」として寸法の許容限界を指定する。

形体のエッジを規制することを要求する場合は、「許容値-公差表示」規定に準じる。

サイズ形体に、はめあいを要求する場合には、「許容値-はめあい公差」規定に準じる。

図面に描いた図形は、対象物の形を示すものであり、その寸法は指示した寸法による。

長さ寸法は、特に指示(包絡条件の適用等)がない限り、その対象物の測定を二点測定によって行うものとして指示する。

2-7 製図における幾何公差の図示方法

1)対象物の形体の幾何公差を用いて図示する方法は、「許容差-寸法及び幾何公差」規

定に準ずる。

2)形体の形状、姿勢又は位置の幾何偏差は、特に指示(最大実体公差方式の適用等)が

ない限り、形体に指定する寸法によって規制されない。

3)図面に指定する公差のうち、形体の形状、姿勢、位置、振れについては、原則として幾何

公差によって図示する。

4)幾何公差は、機能上の要求、互換性、製作技術水準等に基づいて不可欠の場合にだけ

図示する。

5)各形体に幾何公差を直接記入しないで、その公差を一括して図面内に指示することが出

来る。

なお、一括指示もない時は、通常の製作技術による精度に任す。

6)幾何公差を指示しても、製作方法、測定方法又は検査方法を限定するものではない。

もし、特定の方法を限定したい時は、別に指示する。

7)寸法の許容限界と幾何公差との間に関連がある場合(包絡の条件を適用及び最大実体

公差方式を適用)には、そのことを記号によって図示しなければならない。

8)幾何公差付き関連形体を関連付けるためのデータムについては、下記規格の規定によ

る。

JISB0022幾何公差のためのデータム

2-8 製図における面の肌の図示方法

1)対象物の面の肌に関する要求事項を記号を用いて指示する方法は、「面仕上記号」の

規定による。

2)面の肌に関する指示は、対象とする面、除去加工の要否及び表面粗さについて行う。

機能上、体裁上、特に必要がある場合には、その面の加工方法、筋目方向、表面うねり

も下記規格の規定により指示する。

JISB0031製図-面の肌の図示方法

2-9 製図における文章の書き方

1)書き方は、「左横書き」とする。

2)専門用語は、原則として用語に関するJISに規定した用語を用いる。

2-10 図面の変更

出図後において図面を変更した時は、変更個所に訂正記号を附記し、変更前の図形、寸法等は適当に保存する。

この場合、変更の日付、理由等を明記する。

2-11 図面に用いる単位

国際単位である「SI単位系」とする。

 

適用する規格

JIS ISO 名称
JISZ8310   製図総則
JISZ8114 ISO10209 製図−製図用語
JISZ8311 ISO5457 製図−製図用紙のサイズ及び図面の様式
JISZ8312 ISO128 製図−表示の一般原則−線の基本原則
JISZ8313 ISO3098 製図−文字−第0部、第1部、第2部、第5部、第10部
JISZ8314 ISO5455 製図−尺度
JISZ8315 ISO5456 製図−投影法−第1部、第2部、第3部、第4部
JISZ8316 ISO128 製図−図形の表し方の原則
JISZ8317 ISO129 製図-寸法及び公差の記入方法
JISZ8318 ISO406 製図−長さ寸法及び角度寸法の許容限界記入方法
JISZ8322 ISO128 製図−表示の一般原則−引出線及び参照線の基本事項と適用
JISB0021   製図の幾何特性仕様(GPS)
JISB0022   幾何公差のためのデータム
JISB0023   製図-幾何公差表示方式
JISB0024   製図−公差表示方式の基本原則
JISB0025   製図−幾何公差表示方式-位置度交差方式
JISB0026   製図-寸法及び公差の表示方式−非剛性部品
JISB0031   製図-面の肌の図示方法
JISB0001   機械製図
JISB0002   製図-ねじ及びねじ部品-第1部、第2部、第3部
JISB0003   歯車製図
JISB0004   ばね製図
JISB0005   製図−転がり軸受-第1部、第2部
JISB0006   製図-スプライン及びセレーションの表し方
JISB0011   製図-配管の簡略図示方法-第1部、第2部、第3部
JISB0041   製図-センタ穴の簡略図示方法
JISB3401   CAD用語
JISB3402   CAD製図
JISB3410 ISO9179 プロッタ用語
JISZ8321 ISO128 製図−表示の一般原則-CADに用いる線

参考

3D図面活用のクルマづくり

ISO16792製図: デジタル製品定義データ実施規範